良い油と悪い油ってなに?

栄養学のきほん

食について興味・関心の高い人たちと話していると、私自身とても勉強になります。ただ会話のなかで度々でてくる「良い油と悪い油」という言葉。

なんとなく分かっているようで、よく考えると「油の良い・悪い」って何でしょう??

油についてまとめながら、「良い油と悪い油」を考えてみました。

〇「悪い油」ってなんだろう?

食材の「悪い」って何だろうと考えた時に、真っ先に思い浮かべるのは「健康を害するもの」ではないでしょうか。

腐った食材、毒性のあるキノコやフグ…

このような食材は、食べるとすぐに悪い症状を引き起こしますよね。100%悪い効果しかないです。ただ、油で考えてみると…ちょっと状況が違いそうです。それは、食材そのものが悪いというよりも、食べる量によって害になるかが決まるからです。ニュースなどで取り上げられた「悪い油」を一つ一つ見ていきましょう!

①悪い油?:トランス脂肪酸

結論:「トランス脂肪酸」は血管系の病気を引き起こす可能性があるが、普通の日本人の食事では病気の影響は低いと考えられます。

「トランス脂肪酸」は難しい専門用語ですが、一時期メディアで取り上げられたことで有名になりましたね。まずは、「トランス脂肪酸」って何だろうという説明をしていきます。

「トランス脂肪酸」は、植物の油を工業的に加工するときに出来てしまう脂肪です。もう少し詳しい話をすると、液体の油に水素を人工的にくっつけることでクリーム状の油脂商品を作る時に出来る脂肪です。牛など一部の動物にも含まれていますが、自然にはあまり存在しないので人工的な油といわれています。「マーガリン」や「ショートニング」はこの方法で作られています。

また「トランス脂肪酸」には、いくつかのメリットがあります。空気にふれても酸化しにくく、風味がよくて、取り扱いが楽なのです。そういうわけで、バターの代用品としてクッキーやケーキに使われたり、ファストフードで使われたりしています。特に、フライドポテトを作る時にこの油が使われます。冷めた時に油が固まる特徴があるので、ベタつかないために揚げ物によく使われています。

その一方で、安全性に関しては良くない結果が報告されています。心筋梗塞などの血管の病気のリスクを高め、肥満やアレルギーにも関係があると考えられています。

WHOの勧告では、1日の食事のエネルギーの1%未満(2g程度)に抑えることとされています。アメリカではおよそ3%、カナダでは2.2%、フランスでは1.1~1.2%ですが、日本やスペインは0.7%程度と基準を満たしています。イタリア、ポルトガル、オーストラリアはそれよりもさらに低い値です。

実際のところ、日本人の摂取量は少ないので、病気と「トランス脂肪酸」の関係はまだはっきりしていません。しかし、この油を含んでいる食品を考えると、食べ過ぎないことに越したことはないでしょう。「トランス脂肪酸」そのものが悪いというよりも、それを含んだお菓子やファストフードを食べ過ぎないように注意するのが良さそうです。

結局「バランスの取れた食事」をすることが一番大切なのです。

②悪い油?飽和脂肪酸

結論:食べ過ぎも少なすぎるのも問題です。1日15gを目安にしましょう!

「バターの食べ過ぎは良くない!」というウワサを聞いたことはありませんか?

バターに含まれる「飽和脂肪酸」という脂肪は、心臓や脳の血管疾患を引き起こす可能性があるので、食べ過ぎに注意するようにといわれています。また、悪玉コレステロールといわれるLDLコレステロールの値も上げてしまいます。糖尿病や高脂血症のような生活習慣病のリスクが高くなるといわれています。

では、「飽和脂肪酸」を食べないようにすればいいかというと…それも良いとはいえません。「飽和脂肪酸」が少なすぎると、脳出血のリスクが上がるという報告があるからです。

多すぎても少なすぎても駄目なら、どれくらいとればいいのでしょうか。

日本人の成人の目安は、1日のエネルギーあたり15~16gです。義務ではないのですべての食品で表示があるわけではありませんが、ときどき書いてあることもあるのでチェックしてみてくださいね。

③悪い油?コレステロール

結論:ホルモンや細胞の原料であり、体に不可欠な油です。コレステロール値が高すぎるとと血管の病気になるリスクが上がるので、卵は1日1個に留めましょう!

古くからあるウワサ「卵はコレステロール値を上げる」。健康診断でコレステロールに引っかかった人の中には、「卵を食べないようにしよう」なんて思った方もいるのではないでしょうか。昔から、コレステロール値が高いと動脈硬化になりやすいといわれてきました。卵はコレステロールの多い食材の代表格のようなもので、しばしば悪者扱いされてきました。ところが最近は、そんな卵の評価も変わりつつあります。1日1個以下であれば、血管系の病気のリスクを上げることはないという研究も出てきているからです。

健康診断の検査値で悪名高いコレステロールですが、私たちの体には重要な成分です。細胞の表面をおおう膜をつくったり、女性・男性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン、アンドロゲン)はコレステロールから出来ています。また、アレルギー反応を抑えるホルモン(グルココルチコイド)もコレステロールが原料です。悪いことが目に付いてしまいがちですが、コレステロールは私たちにとって、とても大切な油なのです。

①良い油?魚の油

結論:体で作れないn-3系不飽和脂肪酸を含んでいるので重要。現在、健康効果は研究中です。

魚の油は体に良いという話もよく聞きますよね。なぜ、魚の油が重要視されるかというと、人の体で作ることのできないn-3系不飽和脂肪酸という脂肪を含んでいるからです。専門用語が出てきたのでちょっと詳しく解説していきます。脂肪が何でできているかというと、炭素(C)水素(H)酸素(O)がくっついて出来ています。そして、ここで大切なのが炭素(C)どうしが、どんなつながり方をしているのかです。図をみながら考えていきましょう!炭素同士が1つのつながりでくっついているもの(単結合)を飽和脂肪酸、2つのつながりでくっついているものを不飽和脂肪酸といいます。n-3系不飽和脂肪酸は3番目の炭素に2つのつながりがあるものをいいます。また、6番目の炭素が2つのつながりをもつn-6系不飽和脂肪酸もあります。

私たちの体はとても柔軟で、食べ物の脂肪を切ったり付けたりしながら、作りかえることで必要な脂肪を作り出すことができます。しかし、一部の脂肪は体内で作れないのです。その代表がn-3系不飽和脂肪酸とn-6系不飽和脂肪酸です。

n-3系不飽和脂肪酸は「α-リノレン酸」「EPA(エイコサペンタエンサン)」「DHA(ドコサヘキサエン酸)」の3種類です。このうち、魚に含まれているのは「EPA(エイコサペンタエンサン)」「DHA(ドコサヘキサエン酸)」です。

また、健康効果についてはまだ研究段階です。しかし、心臓などの循環器疾患や認知機能にも良い効果があるのではと期待されています。お肉だけではなく、魚もしっかりととる習慣をつけていきたいですね。

②良い油?オリーブオイル

結論:オリーブオイルに含まれるオレイン酸は、循環器疾患の予防に効果が期待されている

健康に良い油として有名なオリーブオイルですが、一体何が体に良いのでしょう?

アメリカの有名な生物学者が行った栄養学の研究では、地中海地域に住む人たちは心臓や血管系の病気になる人が少ないと報告されました。地中海地域はオリーブの栽培が盛んで、油といえばオリーブオイルというくらい、オリーブオイルの消費量も多いです。

オレイン酸は、一価不飽和脂肪酸と呼ばれるグループの油です。前の話から分かるように、2重結合を1つもつ脂肪になります。オリーブオイルは70%がオレイン酸で出来ているので、一価不飽和脂肪酸の代表格といえます。

オリーブオイルは健康に良いというイメージがありませんか?

地中海地域の研究や世界中で行われている研究からの報告では、また健康への効果ははっきりしていません。良い報告もあれば、効果が見られなかったものもあります。今後の研究まちの状況ですが、適量をとっていくのが良いとされています。

普段お家で料理をするときには、「油は大さじ2杯」程度を目安にしてくださいね。

〇まとめ

「良い油、悪い油」という視点で見てしまうと、極端な取り方をしてしまう人がいます。

「良い油=どれだけ食べてもいい!」

「悪い油=一切食べちゃいけない!」

でもね…実際のところ「100%良い悪い」という分け方は出来ないと思っています。

良い油といわれていても、食べ過ぎれば肥満になります。

悪い油を一切とらなければ、病気にならないというわけではないのです。

健康であるために重要なのは、「バランスのよい食事」「睡眠」「運動」を適切にとっていくこと。当たり前のことをがちゃんとするのが、一番大切なのです。

【参考資料】(最終閲覧日:2020年6月25日)

・日本人の食事摂取基準(2020年版)定検討会報告書

・新開発食品評価書 食品に含まれるトランス脂肪酸/2012年3月食品安全委員会

・食品衛生の窓 栄養成分表示 表示方法/東京都福祉保健局/https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/hyouji/shokuhyouhou_eiyou_houhou.html

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