代謝に必要なビタミンで効率よくダイエット

栄養学のきほん

前回はエネルギーの源「3大栄養素」について解説しました。

しかし、糖質(炭水化物)、脂質、たんぱく質をとるだけでは…

「エネルギーを作ることは出来ないのです!」

人の体が動くしくみは、車が走るプロセスににています。

単に「ガソリン」をいれるだけでは、車は走りませんよね…

燃料と空気を混ぜ合わせて…それに圧力をかけて…ガソリンが爆発する力を使って…

タイヤをまわすことで、車は動くことができます。

人の体も同じように、エネルギーの源があるだけでは、それを使う事が出来ません。エネルギーを生み出すプロセスを補助してくれるのは「微量栄養素」という成分たちです。エネルギーを生むためには無くてはならない栄養素です。

車と人には違うところはもちろんあります。車にはガソリンタンクという上限がありますが、人のエネルギー補給にリミットはありません。気の向くままに好きなだけエネルギーを取れるし、残念ながら…使わなかったらその分を脂肪として蓄えてしまいます。

こんな悪循環を防ぐために、今回は「効率よくエネルギー」を使う方法を考えていきましょう!

〇エネルギー生産の味方!「微量栄養素」とは?!

なんだか聞きなれない言葉だなぁ…なんて思う人もいるかもしれませんが…

「微量栄養素」=「ビタミン・ミネラル」のことです

エネルギーになる「3大栄養素」と違って、ビタミンやミネラルの「微量栄養素」はそれ自体はエネルギーにはなりません。そして、食事からとるべき量も、エネルギー源の栄養素と比べて少ないのです。だから「微量」という名前で呼ばれています。

「微量栄養素」は代謝に必要な酵素のサポートをしています。消化・吸収や食事からとった栄養素を使って、体に必要なモノを作るために無くてはならないものです。

ちなみに…「ビタミン」と「ミネラル」は全くの別物なのです!

「ビタミン」は「動植物が体内で作り出した有機物」です。一方で「ミネラル」は「土壌や海にふくまれている無機物」のことをいいます。代表的な「ミネラル」は、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などがあります。(ざっくりいうと、有機物は炭素をもつ成分、無機物は炭素のない成分のことです)

代謝に重要なのは「ビタミン」の方です。

その種類や働きについてみていきましょう!

〇代謝に必要な「ビタミン」

エネルギー代謝に関わる「ビタミン」は全部で5つです。

私たちの体の中には、たくさんの酵素が働いています。

体に必要なエネルギーを作る時も、体の様々な細胞を作るときも、酵素の力が必要です。

酵素のなかには、そのままの状態では働くことができないものがあります。酵素に結び付いて、正常に働くように助けるものを補酵素とよんでいます。

ここで紹介する「ビタミン」は補酵素として働きます。つまり酵素のやる気スイッチを押すビタミンなのです。それぞれに働きがあるので、さらに詳しく解説していきます。

ビタミンの名前はたらき
ビタミンB1 (TPP)糖質の燃焼を助ける (神経の働きを助ける)
ビタミンB2(FAD)脂肪の燃焼を助ける 糖質の燃焼を助ける
ナイアシン (NADH)エネルギー代謝の補助 (アルコールの分解を助ける)
パントテン酸 (CoASH)エネルギー代謝の補助 (ホルモン合成を助ける)
ビオチン糖質のリサイクルを助ける

〇糖質の代謝のしくみ

糖質からエネルギーを得る工程を、生物学の世界では「異化」と呼びます。そして、このプロセスは「解糖系」と「TCAサイクル」の2つのステップに分けられます。どちらのステップも、ビタミン無しでは進みません。なぜなら、ビタミンは「異化」の過程に必要な酵素をサポートしているからです。

糖質(ここではグルコース)代謝の過程では、1つの糖を分解したり、細工したりして別の成分に作り替えていくのです。ここでは、呼吸で取り入れた酸素(O2)と糖(グルコース)(C6H12O6)を組み合わせて、最終的に水(H2O)と二酸化炭素(CO2)にかえていきます。そのときに、エネルギーも一緒に生まれるのです。

〇脂質代謝のしくみ

脂質(脂肪酸)が分解されるプロセスは「β酸化」と呼ばれます。

この分解で最終的に出来るアセチルCoAが、糖質代謝で使われてエネルギーを生み出しています。図をみると、「電子伝達系へ」と書かれているところがありますよね。

糖質代謝にも関わるところですが、代謝によって糖質や脂質を分解して得られた水素(H)は「電子伝達系」に送られます。これらの水素を使って、エネルギーを生み出すことができます。

〇ビタミンBの働き

ビタミンBはチアミンという成分の栄養素です。そして、糖質の代謝には絶対に欠かせない成分です。ビタミンBの多くは、体内で「TPP(チアミンピロリン酸)」として存在します。ビタミンBのTPPは3か所で、変化を助ける酵素を活発にしています。

ビタミンBは神経の細胞にも不可欠なビタミンです。戦時中に日本人を悩ませた、脚気という末梢神経の障害は、ビタミンBの有名な欠乏症です。そういうわけで、ビタミンBは私たちの日々の活動に欠かせないビタミンなのです。

〇ビタミンB2の働き

ビタミンB2はリボフラビンという栄養素のことをいいます。ビタミンB2の多くは「FAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)」として存在します。FADは酵素に働きかけて、ある成分から水素をとる働きをします。糖質・脂質のどちらの代謝にも重要な栄養素です。

〇ナイアシン

ナイアシンは、狭い定義ではニコチン酸とニコチンアミドのことをいいます。ニコチン酸やニコチンアミドは、煙草に含まれている「ニコチン」とは別物です。また、広い定義では、アミノ酸の1つ、トリプトファンもナイアシンの仲間です。トリプトファンは体の中でナイアシンと同じ働きをする構造をもっているからです。

ナイアシンは「NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)」と呼ばれる補酵素です。体の色んな場所で働いているので、健康な食事には無くてはならないビタミンといえます。

ナイアシンは2200種類以上の酵素のうち、500種類の補酵素であるといわれています。

たとえば、ナイアシンはアルコールの代謝に必要です。アルコールを分解するときに必要なアルコール脱水素酵素の補酵素だからです。

〇パントテン酸

パントテン酸は「コエンザイムA(CoASH)」という補酵素として働きます。

食品成分のアセチル基やアシル基と呼ばれる部分を移動させることによって、他の成分に変化させる働きをサポートしています。ちなみに「パルテノン」はギリシャ語で「広くどこにでもある」という意味で、穀類、野菜、肉類、乳製品など色んな食材にふくまれています。また少しではありますが、腸内細菌によっても作られるビタミンです。

〇ビオチン

ビオチンは酵母の成長を促す成分として発見されました。そして、有機物の「カルボキシ基(-COOH)」と呼ばれる部分を移動させる「カルボキシラーゼ」という酵素のサポートをしています。

私たちの体は、代謝の過程で出来たものやアミノ酸を作り替えて、糖質代謝の「TCAサイクル」に必要な成分にリサイクルするという働きもあります。このリサイクルを栄養学の用語で「糖新生(とうしんせい)」と呼びます。

ビオチンは体のリサイクル屋さんのお手伝いをするビタミンなのです。

〇まとめ

エネルギーを効率よく作るためには、ビタミンもしっかりととっていくことが大切です。
最後に少しだけ自分の体験談を話しますね。私自身、仕事や勉強が忙しくて、ご飯が食べられずお菓子で空腹をごまかして過ごしたことがあります。すると…ご飯をスキップして食べる量(カロリー)が少ないにも関わらず、なぜか体重が増える…。
普通のご飯に戻して、食べる量(カロリー)が増えたのに、何もせず2kg痩せる…なんて経験をしました。
ご飯を抜けば、カロリーを減らせば痩せる…かというと、実際のところそうではないようです。微量栄養素が不足してしまうと、使える栄養素がエネルギーにならず、痩せにくくなってしまいます。
せっかくの努力を台無しにしないためにも、栄養バランスをしっかりと考えていきたいですね。

【参考資料】(最終閲覧日:2020年8月10日)

・日本人の食事摂取基準(2020年版)定検討会報告書

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