初心者のための栄養学【ビタミンB1】

栄養学のきほん

地中海式ダイエットでは、精製されていない穀類を食べるように勧めています。昔は精製された穀類は高価で、裕福な人の食材。精製度の低いものは価格が安く、貧しい人の食材とみられていました。しかし栄養学の研究が進むとともに、健康に良い効果が期待されて、全粒粉パンや玄米ご飯はむしろ健康的な食材とみられるようになりました。そんな、穀類の中に含まれるビタミンBについてまとめていきたいと思います。

〇ビタミンBってなに?

ビタミンBはチアミンの事を言います。サプリメントや栄養強化食品、栄養剤に含まれるものは、チアミン塩化物塩酸塩であることが多いです。ビタミンBは私たちの体で、糖質をエネルギーに換える過程に欠かすことの出来ないビタミンです。豚肉に多く含まれているのが有名で、穀類の胚芽に多く含まれています。穀類を食べる時には、玄米や全粒粉を選ぶと良いでしょう。

〇ビタミンBの効果 【糖質をエネルギーに換える】

毎日の食事で摂るエネルギーの源、炭水化物ですが体に吸収しても、そのままではエネルギーとして使う事は出来ません。原油からガソリンが出来るように、原料から燃料を得るための工程があります。糖質からエネルギーを得る工程を、生物学の世界では「異化」と呼びます。そして、この工程は「解糖系」と「TCAサイクル」の2つのステップに分けられます。どちらのステップも、チアミン無しでは進みません。そういうわけで、ビタミンBは私たちの日々の活動に欠かせないビタミンなのです。

〇ビタミンBの効果 【神経の細胞を維持する】

ビタミンBは神経の細胞にも不可欠なビタミンです。戦時中に日本人を悩ませた、脚気という末梢神経(手・足先の神経)の機能障害は、ビタミンBの有名な欠乏症です。詳しい機能はまだ分かっていない事も多くありますが、脳の特定の細胞(視床、乳頭体)が正常に働くためにも不可欠だという報告があります。

〇ビタミンBの効果 【分岐鎖アミノ酸の代謝】

ビタミンBは分岐鎖アミノ酸の代謝に必要な酵素を活発にします。私たちの体で作ることが出来ないアミノ酸を、必須アミノ酸と呼びます。その中で、枝分かれした形の必須アミノ酸を分岐鎖アミノ酸(バリン・ロイシン・イソロイシン)と呼んでいます。分岐鎖アミノ酸は、タンパク質合成の基になったり、糖質からのエネルギー産生に必要な物質になったりして、糖質代謝・タンパク質代謝に影響を与えます。また神経伝達物質合成や筋肉の疲労回復効果も期待されていて、体の機能の様々な所に関わっています。

〇注意する事

水溶性ビタミンであるので、過剰症についての報告はあまりありません。しかし、1日10gのビタミンBを2週間以上摂取したときに、頭痛や不眠、かゆみなどの症状がみられたという報告があります。

欠乏症については、脚気やウェルニッケ・コルサコフ症候群などの神経系の障害があります。脚気は末梢神経障害で、手先・足先の神経が正常に働かなくなります。ウェルニッケ・コルサコフ症候群は中枢神経障害(脳の機能障害)です。精神疾患を引き起こしたり、運動機能障害や嗅覚の異常、慢性的なビタミンBは記憶障害も引き起こす可能性があります。アルコールの過剰摂取は、ビタミンBの吸収を妨げて、欠乏症を招く可能性があります。

うっ血性心不全の患者を対象に行った研究では、利尿剤の使用により、尿からのチアミンが排泄が多くなって、チアミン欠乏症になる可能性が上がるという報告もあります。

また、チアミンに関わる酵素の異常によって、チアミン反応性ピルビン酸脱水素酵素複合体欠損症、メープルシロップ尿症、チアミン反応性巨赤芽球性貧血などがみられることもあります。

医師や栄養士のアドバイスを受けて、適切に摂るようにしていきたいですね。

〇摂取量(推奨量)

ビタミンBの推奨量は、

【チアミン塩化物塩酸塩量として0.45 mg/1,000kcal】×1.2 

普通の活動量の女性が1日に必要な量は、2000kcalなので、おおよそ1.1mgが推奨量になります。

〇食材で考えると…

ビタミンBの多い食材の代表格は、豚肉です。

・豚もも肉(110g):0.99mg

・豚ヒレ肉(100g):0.98mg

・全粒粉(1カップ):0.37mg

・Gerble’ ハチミツ&全粒粉ビスケット(1パック・5枚):1.6mg

毎日の食事で適量をとるようにしていきたいですね。

【参考文献】(最終閲覧日:2020年4月22日)

・日本人の食事摂取基準(2020年版)定検討会報告書

・総説 チアミン(ビタミンB)欠乏による神経組織障害,比較生理生化学 Vol.31,No.1、濱田 俊

・分岐鎖アミノ酸の生理機能の多様性 生化学 第84巻 第11号、下村 吉治,北浦 靖之,門田 吉弘

・Hutson SM, Sweatt AJ, Lanoue KF. Branched-chain [corrected] amino acid metabolism: implications for establishing safe intakes. J Nutr. 2005;135(6 Suppl):1557S-1564S.   (PubMed)

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