
イタリアを代表する食べ物と言えば、マルゲリータピザ。
トマトの赤。モッツアレラチーズの白。そして、瑞々しい緑のバジル。
イタリアンカラーの一皿は、大人も子供も大好きな味なのではないでしょうか。
そんなバジルなどの緑の野菜に豊富に含まれる栄養素が、ビタミンK。
実は、日本を代表する発酵食材の納豆にも多く含まれているのです。
〇ビタミンKってなに?
ビタミンKはフィロキノン(ビタミンK1)とメナキノン類の事を言います。
フィロキノンは植物に含まれていて、葉で光合成を行っている緑の色素部分(葉緑体)に含まれています。
また、栄養上に重要と言われるのが、動物性食品に含まれていたり、納豆菌に作り出されるメナキノン類です。
実は私たちの腸内細菌も日々、お腹の中でビタミンKを作っています。
そういうわけで、普通の食事をしていれば、ビタミンKが不足する事は無いと考えられています。
〇ビタミンKの効果① 血液が固まるのを助ける
転んで擦りむいたり、ケガをした時に出来るかさぶた。。。
血液が空気に触れて固まったかさぶたは、当たり前の事で何の驚きもないですよね。
しかし、もしかさぶたが出来なかったら、私たちはケガをする度に大出血によって命の危機にさらされるかもしれません。
血液が固まるためには、ビタミンKが無くてはなりません。
液体だった血液が固まって、かさぶたが出来るためには、血液凝固因子というものが必要になります。
血液凝固因子が肝臓で合成されるためには、ビタミンKが必要です。
肝臓で作られた血液凝固因子は傷口に集まって、ネットの様な膜を作って、血管から血液が漏れ出してしまうのを防ぎます。
ビタミンKが不足した状態では、血液凝固が遅くなる可能性があります。
〇ビタミンKの効果② 骨の代謝
私たちの体の細胞は、日々新しいものが作られ、古いものが捨てられて…
という代謝を繰り返しています。
骨も同じように新しい骨が作られ、古いものが壊され、健康な状態を維持しています。
骨の代謝バランスは、古い骨を壊す「破骨細胞」と新しく骨を作る「骨芽細胞」によって維持されています。
ビタミンKは「破骨細胞」を減らし、「骨芽細胞」を増やすことで、骨の健康に貢献していると考えられています。
7万人以上の女性を10年間追跡研究した結果によると、フィロキノン(ビタミンK1)の摂取が109μg/日より少ない参加者は、それ以上の摂取していた女性に比べて30%も股関節骨折のリスクが高かったそうです。
この研究では、レタスを食べる頻度が多い人(毎日1~2食)は、頻度が少ない人(週1回以下)に比べて股関節骨折のリスクが減少したことも報告されています。
食事でしっかりとビタミンを摂ることの重要性を感じさせる研究報告ですね。
〇ビタミンKの効果③ 動脈硬化防止の可能性
血管が石灰化して固くなってしまう動脈硬化。
心臓や脳の血管を詰まらせる原因の1つです。
ビタミンKは血管の石灰化を防ぐ効果が期待されています。
生体に存在するMGP(マトリックスGlaタンパク質)というタンパク質は、
ビタミンKによって活性化されます。
MGPを持たないマウスに血管の石灰化が見られたことから、MGPが動脈硬化を抑制する効果があるのではないかと考えられるようになりました。
また、オランダのロッテルダムで行われたビタミンKと心疾患の関係を調べた研究では、ビタミンKの摂取量が多い群では心臓病の発症率や死亡率が低かったという報告もあります。
〇注意する事
ビタミンKは基本的に普段の食生活で不足する事は無いと考えられています。
また過剰症についても、ほとんど報告がありません。
しかし、注意することが2つあります。
1つ目は、腸内細菌によるビタミンK産生が少ないと考えられる新生児・乳児はビタミンKが不足する可能性があることです。
出生後、数日に起きやすい新生児メレナ(消化管出血)や、1か月後の乳児にはビタミンK欠乏性出血症(頭蓋内出血)が見られることがあります。
これは、母乳に含まれるビタミンKが十分ではない場合があるからです。
赤ちゃんの欠乏症を防ぐために、ビタミンK2シロップを飲ませる事があります。
ビタミン補充は医師の指示通りに行うようにしてくださいね。
2つ目は、サプリメントや薬との飲み合わせです。
ビタミンEサプリメントと一緒に取ることで、ビタミンKの効果が打ち消されてしまう可能性があります。
フィロキノン(ビタミンK1)は体の中でメナキノンに変換される事で、血液凝固作用などに働きます。
ビタミンEはこの変換過程を阻害する可能性があり、その結果、血液が固まる時間が延長されてしまうかもしれません。
同じように、血液をサラサラにする薬(ワーファリン)は、血液凝固に関わるビタミンKとの飲み合わせが悪く、薬の効果を減らしてしまうことがあります。
お医者さん、栄養士さん、薬剤師さんなどに相談して、薬やサプリメント、食事も適切にとっていきたいですね。
〇どれくらいとればいいの?(目安量)
1日150 µgが目安量です。
発酵大国の日本では、ビタミンKの摂取量は納豆の影響を大きく受けます。
納豆を食べる人のビタミンK摂取は336.2±138.2 µg/日、非摂取者は 154.1±87.8 µg/日との報告があります。
納豆を食べない人に明らかな健康障害は認められていないことから、この目安量になったそうです。
〇食材でいうと…
・納豆(1パック50g):300μg
・ズッキーニ(1本200g):70μg
・ほうれん草(小皿中盛60g):162μg
・バジルソース(ジュノベーゼ:大さじ1):18.6μg
毎日の食事の参考にしてみてくださいね!
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【参考文献】(最終閲覧日:2020年4月19日)
・日本人の食事摂取基準(2020年版)定検討会報告書
・【総説】ビタミンKの健康機能に関する最近の知見(オレオサイエンス第14巻第12号)鈴木啓章,2014https://www.jstage.jst.go.jp/article/oleoscience/14/12/14_555/_pdf/-char/ja
・Feskanich D, Weber P, Willett WC, Rockett H, Booth SL, Colditz GA. Vitamin K intake and hip fractures in women: a prospective study. Am J Clin Nutr. 1999;69(1):74-79.
・【解説】ビタミンKの生体内変換とその意義、化学と生物Vol. 45,No.9,2007;白石 仁、大崎 雄介、駒井 三千夫https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/45/9/45_9_627/_pdf/-char/ja
・Traber MG. Vitamin E and K interactions–a 50-year-old problem. Nutr Rev. 2008;66(11):624-629.
・Booth SL, Golly I, Sacheck JM, et al. Effect of vitamin E supplementation on vitamin K status in adults with normal coagulation status. Am J Clin Nutr. 2004;80(1):143-148.
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